【「この花」へ向けて】その壱
10/25の「山井綱雄之會」。
あと1ヶ月となった今日から、不定期ですが思うことを徒然なるままに書いてみたいと思います。
今度勤めますのは、幻の豊公能、「この花」。
この幻の豊公能(ほうこうのう/豊臣秀吉が作られた能作品群)「この花」は、平成12年に、80世金春安明先生が発見されました。
御先祖金春家伝来の数多い中の伝書で、たまたま発見したのではなくて、西野春雄先生や天野文雄先生という能楽研究の大家の先生の論文を読まれて、安明先生は「あっ、そういえばそういう伝書があったな」と、確信を持って読み返されて、「ああやっぱり」、と発見されました。
たまたまの発見ではなく、確信を持っての発見でした。
そして、その伝書の節付(メロディー)は、今の我々能楽師では到底謡えない分からない節付だったのですが、それを全て安明先生が、解読
されて、現代の節付に『解読』されました。
これは、能楽師としての高いスキルに加え、学術的な知識と感覚、そして国語学的な音韻学も詳しい安明先生でしか出来ない業でした。
加えて、豊臣秀吉の命で節付したのは、当時の家元62世宗家金春安照。
約450年・18代の時を越えて、80世宗家金春安明先生が、それを復活させました。
そして、お名前も、安『照』と、安『明』。
歴代金春宗家で、「安」の字を戴く方は多いのですが(当代のお名前は「憲和」)、それにしても、安『照』から、安『明』へ、というのも、とてもロマンを感じます!
その発見者・安明先生に、能「この花」での重要な役、豊臣秀吉役をお勤め頂きます。
これについては、また次回!!