一昨年は、喜多流佐々木多門さん・金剛流豊嶋晃嗣さんとの三流競演講座、昨年は観世流中所宜夫さんの新作能「光の素足」上演と共演、金剛流豊嶋晃嗣さんとの能「二人静」の東京・京都での共演と、ここ3年ほど異なる流派の能楽師皆さんと、共演を重ねてきました。
今回の梅若紀彰さんとの共演で、1つの集大成・一区切りかと思います。
今回の「蝉丸」も、梅若紀彰さんと御相談の上、演出面を決めました。
謡は、殆どコトバは変わらないので、それぞれの流儀の謡い方そのままで。
役柄として、姉・逆髪と弟・蝉丸と姿も人も違うので、そのままで無理に合わせることはしないことにしました。
ちょっとマニアックですが、ポイントがいくつかあります。
・蝉丸の住まい(藁屋)の舞台での設置場所
・逆髪、蝉丸の再会の場面
・クセ(逆髪、蝉丸が自らの境遇を嘆く)の場面
・別離の最後の場面
観世流梅若家、金春流と、どちらかに全て偏った演出にはしませんでした。
具体的には、
・蝉丸の住まい(藁屋)は、金春流の伝来通り、脇座(舞台上手)へ置くことにしました。
流儀によっては、様々な置き場所があるそうです。が、今回は色々鑑みて、金春流の伝来通りにさせて頂きました。
紀彰さんのお話では、脇座へ置くのは近年御家ではやっていないそうですが、本来の御家の伝来でも、やはり脇座に置くのが本来、とのことでした。
・再会の場面
これは、梅若家の型でさせて頂きます。
具体的にどうするかは、、、観てのお楽しみです。
・クセ
「居グセ」といって、何もせずジッと座っているのが多くの流派のこの場面での型のようです。
金春宗家の型には、最初から、舞う型があり、今回はそちらでやらせて頂きます。
最後に、紀彰さんの蝉丸も少し型があり、こちらの逆髪も少し合わせるようにさせて頂きます。
・別離の最後の場面
基本的には、それぞれの型と謡で。でも勝手にバラバラという訳ではなく、さりとて合わせ過ぎることもなく、何とも形容し難い感じになります。
そして、どのようにお感じになられるかは、お客様それぞれの受け取り方次第。
「こう観ないと駄目」ということはなく、自由に解釈・感じ取って頂けたらと思います。
いよいよ。明日に迫りました。
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第73回文化庁芸術祭参加公演
山井綱雄芸道40周年記念
第13回山井綱雄之會
異流共演能「蝉丸」 山井綱雄(シテ逆髪)梅若紀彰(ツレ蝉丸/観世流梅若家御後胤)野村萬斎(アイ) / 狂言「成上り」 野村萬斎 / 金春流能楽師仕舞
2018年10月26日(金)18:00開演
国立能楽堂
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