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Channel: 能楽師・山井綱雄の~日々去来の花~
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人間国宝・金春惣右衛門先生、大往生

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「巨星、堕つ、、、」


人間国宝
芸術院会員
太鼓方金春流22世宗家
金春惣右衛門国長先生、大往生。
今年で90歳を迎えられる年でした。





http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140311-00000131-jij-soci


まさに、「Living・LEGEND」でいらっしゃいました。

能楽界に画期的な、全ての能楽師の座右の書  「太鼓全書」を戦後執筆。




そして、その太鼓の演奏の素晴らしさについては、私が申し上げるに及びません。


幼少期の師匠  富山禮子先生の「伯母捨」の  出羽    という出囃子では、月の世界が見えました。私は地謡座で、惣右衛門先生の太鼓に圧倒されました。


現宗家 金春安明先生の「淡路」の急ノ舞では、若い囃子方の中で、涼しいお顔で、鬼のような気迫と速さの太鼓を打たれていました。


私の会、「山井綱雄之會」にも、一度だけご出演頂き、御相手頂いたことがありました。

出演交渉するのも、畏れ多く、、、(笑)。

恐る恐る、楽屋でお話しましたら、傍にいらした亀井忠雄先生が、「平ちゃん(私の祖父 梅村平史朗のこと)の孫だよ。」と助け船を出してくださり、惣右衛門先生が、「おお、じゃ俺と同じ寺だな」と笑顔で仰いました。
金春惣右衛門家の歴代のご檀家のひとつのお寺が、祖父と同じだったのです。


そして、私の能「葵上」で、打って頂いたのは、私の一生の財産です。

「祈り」という場面で、惣右衛門先生の太鼓が刻み出すだけで、その目の前で伏せていた私は、鳥肌が立ちました。

名人芸の凄さ、素晴らしさは、もはや理屈ではないのです。


昨日は、申し合わせの後、惣右衛門先生の肝煎りの直弟子の1人、吉谷潔さんと、追悼の杯をあげさせて頂きました。

潔さんも、まだ全く実感が沸かないと仰っていました。
週明けにご葬儀だそうです。このタイミング、潔さんも、他の能楽師のお弟子さんも、たまたまそれぞれの地元から東京に滞在の予定を以前から組まれていたそうです!

そして、御命日が3/11というのも、誰もが忘れない日にちですね。

稀代の巨人は、その御最期まで、凄いのですね。


心より哀悼の意と、ご冥福をお祈り申し上げます。


山井綱雄

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