ROAD TO 光の素足
第2話 ひかりの素足と光の素足
宮沢賢治の童話 ひかりの素足 の後日談として描かれているのが、実は、新作能 光の素足 です。
なので、今回は、原作の世界観がどうしても能の前に欲しくて、朗読を入れることにしました。
その朗読をして下さるのが、女優 五大路子さん。五大さんは、ご自身の劇団を率いられたり、大変に熱いパッションを持った方です。
そして、その後ろで演奏して下さるのが、二十五絃箏奏者 中井智弥くん。
こちらも、新作能と同時並行で制作してくださり、来週リハーサルがあります。
これだけでも、かなりの聞き応えだと思います!
原作のあらすじを、最後に。
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童話「ひかりの素足」あらすじ
雪道で遭難した兄弟の物語。
炭焼きの父に連れられ、山に来ていた一郎と楢夫の兄弟は、学校があるため母の待つ家に帰ることになった。父は山に残り、兄弟は自分たちだけで帰路を歩きはじめる。
山の天候は変わりやすく、荒れはじめ、とうとう歩くことも出来なくなり、二人は抱き合い吹雪の中をじっと耐えていた。
やがて、気がつくと吹雪はやみ、兄の一郎は、ひとり藪の中を歩いていた。そして、弟の楢夫を見つける。二人は帰路を探してぼんやり明るい光の方へと歩いていく。そこには何とも痛ましい姿をした子供たちが鬼に追われていた。鬼は鞭を打ちつけ子供たちを追いたてる。つまずいた楢夫にも鞭を打ちつけ、一郎は弟をかばおうと自分が打たれようとした。
その時どこからか「にょらいじゅうりょうぼん第十六。」という言葉が聞こえ、一郎も唱えてみると、辺りは一転し黄金色に包まれた。その中をひかりの素足がまっすぐ歩いてきた。ひかりの素足が現れると鬼はひれ伏し、子供たちの傷も癒してくれた。
ひかりの素足は楢夫にやさしく「お前はしばらく兄さんと別れなければならない。兄さんはもう一度お母さんのところへ帰るんだから。」といい、一郎には「お前はも一度あのもとの世界に帰るのだ。」といった。一郎はただ手を合わせ眼を伏せて立っていた。するとすべての景色がぼうっと霧の中のように遠くなっていった。
一郎が「楢夫」と呼ぶとそこは雪の中だった。一郎は楢夫を抱いたまま雪に埋まっていた。
猟師に雪の中から助けられながらも弟を見ると、楢夫はかすかに笑ったまま息絶えていた。