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Channel: 能楽師・山井綱雄の~日々去来の花~
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心からご冥福をお祈り申し上げます

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太鼓方金春流 二十三世宗家 金春國和先生、ご逝去。

私にとって國和先生は、初めてお囃子の手解きをして下さった師匠でした。

能楽師の登竜門 「道成寺」の時お相手下さり、そして、「翁」付き「高砂」という、二時間半ぶっ通しというハードな舞台にご出演をお願いしたら、「ごめん!もう、そういう長いのだめなんだぁ、ホント、ゴメンな!」とお電話でお話しし、電話を切った直後に直ぐに電話かかってきて、「分かった!!分かったよ!ゴメンな!やるよ!やるぞ、俺は。山井くんの晴れ舞台だもんな。変なこと言ってゴメンな。やるぞ!俺は、やるぞ!」と、無理に出て頂いたこともありました。
あのときは、とても有り難く、嬉しかったです。

そして、太鼓を御指南頂いていたときは、色々なことを教わりました。
それは、太鼓やお囃子のことだけでなく、この世界で気を付けなくてはいけないことや、國和先生が感じていらっしゃることを、率直に、俺はこう思うんだよね、とお話下さいました。
それが、今の私を形作っています。


お稽古で特に印象深いのは、私が初めて「黒塚」という能で、「イノリ」というお囃子との舞をすることになったとき、「知ってた方がいいから」と、同じ「イノリ」の、「黒塚」、「葵上」、「道成寺」の違いを、実際に演奏して目の前でお見せ下さったことがありました!

その違い、そして何よりも、素晴らしさ鮮やかさに目も心も奪われ、今でも鮮烈に覚えています!

今年の3月に亡くなったご先代・惣右衛門先生は、誰もが認める大名人でした。

その、ご長男である國和先生も、類い稀な才能をお持ちで、そして努力を重ねてこられた方なのだと、師事をしながら感じました。


いつか、「惣右衛門先生」となられ、ご先代と同じく大名人となられることを、私は微塵も疑っていませんでした。


11/10月曜の、国立能楽堂での公演で、楽屋でお会いしてお話させて頂いたのが、最後となりました。


実は、来週に迫った、「第9回山井綱雄之會」にご出演頂き、当流宗家 金春安明先生と、一調「高砂」をお勤め頂くこととなっていたので、そのご挨拶をさせて頂いたのです。
とても、お辛そうだったので、心配していました、、、。

まさか、こんなことになるとは、夢にも思っていませんでした。


いつも気さくで、楽しかった、國和先生。

まだ、私は信じられません。

心よりお礼と、ご冥福をお祈り申し上げます。


山井綱雄





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