Quantcast
Channel: 能楽師・山井綱雄の~日々去来の花~
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1559

8/27金曜放送『にっぽんの芸能』出演者を山井綱雄が 勝手に解説!!

$
0
0
【 NHK   E テレ  能楽放送!!】

にっぽんの芸能   NHK  Eテレ

8月27日(金)午後9:00

▽昭和から平成にかけて活躍した能の名人の至芸を「五番立(だて)」の形式にのっとってご紹介。

うちの金春流は、2番目に登場。

金春流     能「実盛」

 櫻間道雄   森茂好 

1967年 (モノクロ 89分)

能 実盛(金春流)

シテ 櫻間道雄
ワキ 森茂好
ワキツレ 宝生閑 鏑木岑男
笛  一噌正之助
小鼓 北村一郎
大鼓 瀬尾乃武
太鼓 金春惣右衛門
後見 野村保 守屋与四巳
地謡 地頭・櫻間龍馬 副地頭・梅村平史朗
櫻間辰之・早野隆太郎・佐藤栄一郎・数山光玄・瀬尾菊次・風間信一

【出演者 を   山井綱雄   勝手に  解説   】
もう結構ご存じない方も多くいらっしゃるかと思い、私の勝手な私見で出演者ご紹介‼️

シテの櫻間道雄先生は、我が流唯一の、人間国宝。一時代を築き一世を風靡した方です。誰も踏み込めない独自の世界観と芸域を極められ、今の現代にいらしたら、多才で多方面で活躍され、アーティストと呼ばれた方ではないかと。
80歳で「道成寺」を舞われ、文化庁芸術祭満票での大賞受賞。各界にも大きな影響を与えられた、昭和を代表する名人でいらしゃいました。
今の櫻間家当主  櫻間右陣さんは、御孫さんに当たられます。

ワキの森茂好先生も、昭和を代表する名人であり、人間国宝。スケールの大きな、それでいて、柔らかな包まれるような謡でした。私も何度か子方でお相手頂いたことがあります。とてもお優しい先生でした。
今の森常好さんは、ご長男。近年、常さん(愛称でこう呼ばせて頂いてます)は、茂好先生に似てらしたなぁと、私個人的には感じています。
そしてあまり知られていないかもしれませんが、ワキ方 舘田善博さんは、茂好先生の外孫に当たられます。プライベートで仲良くさせて頂いている舘田さんにも、やはり茂好先生の面影を私は感じます。

ワキツレに、後の世の名人、宝生閑先生と鏑木岑男先生が若かりし姿で並んで座ってる、というのも、昔の映像ならではの面白さです。

お囃子方も、ホントに凄いメンバーです。
大鼓の、瀬尾乃武先生は、今の櫻間金記先生のお父上。お顔が、よく似ていらっしゃいます。
そうそう、地謡の  瀬尾菊次 先生が、今の櫻間金記先生です。
乃武先生は大きな間と、澄んだ鋭い打音が特徴的、と僭越ながら私は勝手に感じております。
この時、櫻間金記先生はよくお父上乃武先生のカバン持ち楽屋働きで各流派の楽屋へ行かれたそうです。通事は同一流派内だけの付き合いとなりがちなシテ方の中で、この経験は大きく、今多方面で能楽界演劇界で広くご活躍しておられる金記先生の原点は、能楽界で広くご活躍されたこの乃武先生の付き人経験が大きいのではと推測しております。( 実際金記先生もそう仰有っておいでです)
もう亡くなられて結構経ちますが、櫻間辰之先生は、金記先生の実兄です。瀬尾乃武先生のご長男。生きておられたら、辰之先生、本田光洋先生、櫻間金記先生が舞台で揃い踏みしたら、どんなにか素晴らしく金春流としても誇らしかっただろうと、想像します。

瀬尾乃武先生は、人間国宝であり、大鼓方葛野流の宗家でした。その宗家の継承は、亀井忠雄先生、長男 今の宗家 広忠君に受け継がれています。瀬尾家と亀井家は深い繋がりなのですね。
他の北村一郎先生、金春惣右衛門先生も人間国宝。
金春惣右衛門先生は、お孫さんで近年 宗家を継承された、惣右衛門 國直 君が、早逝去されたお父上國和先生の後をしっかり受け継がれておられます。
これは、とても頼もしく、嬉しく、能楽界挙げて期待をして応援しているところです。

さて、後見、地謡も錚々たる顔ぶれ。

野村保先生、櫻間道雄先生、今の本田光洋先生のお父上秀男先生と、この3人がとにかく三羽カラスとして凄かったそうです。
守屋与四巳先生は、櫻間弓川門下で私の祖父の直接の弟弟子にあたられる方で、私の住む横浜でいち早く金春流を広められた第一人者でした。残念ながらやはり早く亡くなられ私も可愛がって頂いた 泰利先生はご次男で私にも繋がる弓川先生の芸をしっかり継承されていた方でした。
ある薪能の楽屋で、先代 観世銕之丞先生が守屋与四巳先生を見つけられ、銕之丞先生から「お元気ですか?!」と三顧の礼で声をかけられご挨拶されていて、若手ペーペーで目の前にいた私は守屋先生凄いんだなぁと思った記憶があります。

地頭の、櫻間龍馬先生。晩年は、金太郎と名乗られました。完全無欠の名門櫻間家の当主として、名人 櫻間金太郎(弓川)先生のご長男として、正に『王道』を継承され突き進んだ方。
お父上譲りの大きな体格と、豊かな美声から繰り出される、変幻自在な謡。というか、今でいう、甘いマスク 、イケメン(笑)。これぞ、櫻間家の真骨頂を具現化された方です。
私は晩年の舞台しか拝見してませんが、子供心に感じたのは、とにかくスケールの大きさ、次元の違うスケールの大きな芸の方と感じ、あんな舞台が舞ってみたいと、子供心に思ったことを今でも覚えています。
79世金春信高先生は同い年。宗家としての立場の違いはあれ、能楽師個人としては永く切磋琢磨するライバルでいらっしゃいました。

そして、地謡には、櫻間辰之先生が後列、瀬尾菊次(今の櫻間金記先生)ご兄弟も前列に並んでおられますね。この兄弟揃い踏みなのも、貴重です。

それから、最後に、櫻間龍馬先生の横で、副地頭を勤めているのが、私山井綱雄のルーツ、祖父の梅村平史朗です。
祖父の映像というのは、殆ど無いので、とても貴重で有難いです。
我が祖父のことはいづれ書かせて頂きたいですが、祖父は櫻間金太郎(弓川)先生の門を叩き、弓川を親父と慕い、謡もそっくりだったそうです。
とても社交的で、色々な方々とお付き合いがあったそうです。そういう面は、私は少しは受け継いでるかもしれません(笑)。
それと、チャキチャキの江戸っ子でした。

確か、この映像では、櫻間龍馬先生と共に、平史朗の謡も聞こえていたような、、、

新しく能楽ファンになって下さった方々等々、もう知らない方も多いと思うので、徒然なるままに、書かせて頂きました。

こんなルーツを知りながら観ると、面白いと思います❗️

映像は少しかもしれませんが、どうぞ、お楽しみに‼️

~~~~~~~~~
【 NHK   E テレ  能楽放送!!】

にっぽんの芸能   NHK  Eテレ

8月27日(金)午後9:00

蔵出し!名舞台 
名人の芸で観る 能の五番立
「蔵出し!名舞台」

▽昭和から平成にかけて活躍した能の名人の至芸を「五番立(だて)」の形式にのっとってご紹介。

うちの流儀からは、櫻間道雄先生の『実盛』が放送されます!

▽ゲストは稽古に通うほどの能の愛好家、女優の余貴美子

8月27日(金)午後9:00ほか 放送予定へ




Viewing all articles
Browse latest Browse all 1559

Trending Articles